Thirsty Thirty

生活、ときどきオタク

『あたっくNo.1』がとても最高だった話

こんばんは私です今日も元気です。うそです風邪が治りません!まだ思い出したように咳が出るので仕事したくないばかりに喉が嘘風邪ひいてるんじゃ?と思っています。笑 さて、あたっくを見てきたのでレポ書きたいな~と思っていたらとてもタイミングよくこんなお題をいただきました、ありがとうございます!

仕事の都合がつかなかった悲しいオタクにぜひあたっくレポをお願いします…!

仕事の都合はね……こればっかりはね…!!わかります、くたびれた社会人の端くれとしてお気持ちとてもよく分かります、本当に毎日お仕事お疲れさまです。あたっくのレポ、ご用意しておきましたよ…(カクテルを滑らせるバーテンダーのような声色をご想像ください)そんなわけで下記配役やストーリーなどがっつりネタバレしておりますのでお気を付けください~よろしくお願いいたします!

行先や目的を知らされないままに潜水艦に乗り込んだ11人の海軍の話。舞台上には、左右に4つずつの二段ベッドとハッチ、そして道具が入っている木箱が雑然と置いてあります。とあることからこの航海の目的がアメリカに向けて魚雷を撃ちこみ、後の太平洋戦争への宣戦布告をするためであるということを知ります。しかも、空軍より先に海軍が撃ちこむことでアメリカへの最初の一発、『名誉の一発』を撃ちこめる。それを撃ちこむのは誰だ?ということを主軸にして話が進んでいきます。

戦争の話だし、しかも潜水艦の話だし、全体的に重暗いトーンなのかな?と思って行ったらまったくそんなことなくて違う意味で裏切られてびっくり!公人さん演じる寺内中尉(テラ)が中心になって話が進んでいくのですが、彼はその『名誉の一発』を撃ちたがるんですね。日本にいる新妻に見せてやりたい、新聞を飾りたい、という『名誉』のために。そして、まさきくん演じる北少尉はそれを応援するとともに同じ艦に乗っている古瀬中尉を出し抜いてほしい、だから毅然としてくれ!と寺内中尉に懇願したり鼓舞したりします。この二人の掛け合い、『ちょっと情けない先輩』と『アンタがちゃんとしないとどうしようもないでしょうが!と強く出る後輩』みたいな感じが出ててすごく好きなんですよね…。なんだろう、北くんは本当にテラさんのことが好きなんだなあというのが色んな表情を以て浮かんでくる感じ。個人的に大好きなのは日本に帰る!と言い出したテラさんと宇津木さん(整備長)を2人まとめて引きつれてきて『そこに直れ!前ならえ!』って叱るところなんですけど、歯がゆさとか苛立ちとかじゃなくて『頼むから!アンタたちしっかりしてくださいよ!!』みたいな、ちょっとコミカルさもある演技でとてもいいなあ、大好きだなあ、と思いました。

話は進んで、潜水艦にひそかに積んである『小さな潜水艦』に乗ってアメリカに名誉の一発を食らわすのは、艦の中で一番の下級兵である横川一等兵(ヨコ)であることが分かります。テラさんは自分より位の低いヨコがその任務を担うのがどうしても許せない。鳥取の田舎で育った、海軍に入って初めてワイシャツを着て靴下をはいた田舎育ちにその重大な仕事を取られるのが悔しくて仕方ない。なので、色々と言ってそれを変われと迫ります。上官命令を持ち出してきたり、『自転車に乗りたい』というヨコに買ってやるから変われと言ってみたり。けれどヨコは頑なにそれを拒否します。時には、一等兵が言うには過ぎる言葉を使ったりしてまでも。この話、古瀬派(古瀬、勝杜、ヨコ)と寺内派(テラ、北)とそれ以外(比較的中庸派)、という組み合わせで進むように思えるんですけど意外とそうでもなくて、けれど古瀬派の3人組は一緒にいることが多い。ここ、先に結末を知っているとその3人の見え方が大きく変わってくるのが本当にすごいなあと思いました。

そこからまた話は進み、とあるアクシデントによって小さな潜水艦に乗るのはヨコだけでなく古瀬も一緒であるということが発覚します。元々古瀬を一方的に目の敵にしていたテラさんはそりゃもう大逆上。古瀬が行くなら尚更だ、自分と変われ、とヨコに迫りますがヨコは絶対に首を横に振りません。見かねた他の人が変わってやれと言っても変わらないからしびれを切らし始めた頃、何故自分たちが選ばれたのか、テラさんが選ばれなかったのかを彼が語り出します。それは、『テラさんが長男で、ヨコと古瀬は長男ではないから』。国に帰っても、家を守る義務がないから選ばれた。さらに言えば、その小さな潜水艦は『もう二度と帰って来られない』ことが最初から分かっていた、後の特攻隊のようなものでした。それすら知ってしまったテラさんは、自分が行きたいとかそういうことはもう差し置いて『なぜ』という問いかけをずっと彼らに投げかけます。死にに行くと分かっていて、それでもなお断らないのはなぜか、と。ヨコは語ります。『海軍のおかげで、家族が救われた。その海軍が自分を選んだのだとしたら、断る理由はない』と。この辺り本当に、どちらの言い分も分かるからこそ見ているのがすごく辛かった。ヨコが震えながら喉を潰しかねないくらいの大声で叫ぶのは、見ているこちらも苦しくなるくらいの勢いがありました。特に、『断る理由が!見つからないのであります!』と劇場の一番奥まで響くような大きな、それでいて震えた声で嘆くように声を上げるヨコが、ずっとズボンの腿の辺りをぎゅっと握りしめていて、その手が震えていて。本当は行きたいなんて思ってないんだよね、断れるなら断りたいんだよね、とすら思わせる、迷いのようなものがその手に出ていてとても泣けました。

一度はテラさんがダメにしてしまったヨコの誕生祝いの最中、古瀬とヨコに召集がかかります。思い思いのものを渡して、これまでで一番美しい敬礼を交わして、古瀬とヨコは『小さな潜水艦』に乗り込みます。その姿を残りの9人が見送るのですが、そこからがもう本当に泣きすぎてだめだった。見送る側は『帰って来い、必ず帰って来い!』と言って見送るのですが、行く側は『さよならだ!』としか言わないのです。勝杜は二人が行ってしまうことが信じられなくて、どうしても止めたくて、二人の前に立ちはだかったり泣き崩れたりと、最後までもがきます。最後の最後までもがいて、二人を見送る時も『ヨコ、死ぬな!怖くなったら逃げろ、泳げ、陸に上がったら森に隠れろ、生きろ、死ぬな、死ぬな死ぬな!』と懇願のように叫び続けます。羽交い絞めにされながら、一人だけ制帽も被れずに。それがもう本当に辛いのだけど、でもそれこそが観客の心の代弁のようでもあって。時代とか、情勢とか、そういうのに振り回されて『命を使う』ことを義務付けられたヨコと古瀬の姿はただもう本当に見ているのが辛くて、だからこそ『戦争って何だ、戦うってどういうことだ』という疑問を見終わった後に自分の中に投げかけられるんだなあ、と改めて思いました。

そして暗転後、彼らが出陣して行った後の話が後日談的に語られるのですが、個人的にはそのたった5分程度のシーンがとても美しくて好きです。まだ小説を読んでいないのでどこまでが脚色なのか、というかこの話のどこからどこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションなのかを自分の目で確かめられていないんですけど、舞台上の終わり方は希望を持つこともできる、もしかすると『夢』かもしれないと思えるような終わり方でいいなあ、すごく好きだなあ、と思いました。

ここからは中の人的な感想に寄って行くのですが、まず何と言っても公人さん座長……!!知らなかったよ!言ってよ!!笑 公人さんを真ん中において話が進む中で、テラさんと言う役のあったかい面も独裁的な、自分勝手な面も見え隠れするところがすごく好きで。元々はすごく『良い人』というか、今でもこういう人いるよね、と思えるような人なんだなあというのが伝わってくるのがいいなあ、愛すべきキャラクターだなあ、と思いました。公人さんの演技を見るのはとても久しぶりだったのですが、喜怒哀楽にこんなにはっきりと輪郭を持たせて演技をする方なんだなあと知って、改めてビックリしました。特に最近は圭吾のキャラの、特に声の演技が多かったからすごく意外だったというか、ちょっと驚いてしまったというか。最後、古瀬に縋るようにして声をかけるシーンがすごく美しかったし、なんだろうなあ、テラさんはテラさんなりの『正義』と『誠意』を貫き通したなあ、ととても感じさせてくれました。

そしてまさきくん、彼もまたいい役だったな…!北くんがテラさんの腰巾着のような役どころなので舞台上で公人さんと一対一のシーンも多かったし、全体的に下に威張り散らしたり、割と粗野な面が多かったのがめちゃくちゃ最高だった……。それでいて『接吻をしたことがない』というくだりでテラさんに迫ってみたり(逃げられる)、ヨコに迫ってみたり(逃げられる)、大滝少尉に唇を奪われたり(自分が逃げられなかった)という、途中から『わたし何見に来たんだっけ??』と思うようなシーンの連発でげらげら笑っていました。まさかこの舞台で推しのキスシーンを見るとは思わなかった。笑 何だろうなあ、いい意味での『小物感』みたいなところがあって、憎めないかわいいキャラだなあ、と思いました。テラさんと北くん組み合わせて、ああそうそうこういう子たちいるよね、と思えるような。そういう意味では『戦時中』ってまったく異次元のことでもないんだなあ、とぼんやり思ったなあ。

もう少しまさきくんについて言うと、パンフで『いつしか演じることに対しての苦手意識を感じていた』という趣旨のことを言っていて、それを読んだ時、なんだかすごく申し訳ないなあ、と個人的には思ってしまったんです。良くも悪くも2015~16年の彼の活動はほとんどがディアドリで染まってしまっていて、板の上での活動からは遠ざかってしまっていたのは事実で。ただのファンが申し訳なさを感じるなんてのはお門違いだと思うけれど、そう分かってこそなお、やっぱり申し訳ないなあと。でも何となく思うのは、彼の中で『苦手意識』は持てど、その1年と少しに『後悔』はないんだろうなあ、ということです。彼のこれまでの振る舞いや、あちこちで語られる言葉だけを拾って行けば、彼がいかにドリフェスの活動に全精力を傾けていたかは嫌と言うほどに伝わってくるし、そこに義務感や嫌々やっているというような感じはこれっぽちも見受けられなかったからこそ、そう思える。ドリフェスからしか彼を知らないので、今の自分に見えているのは『今』の彼でしかないけれど、そこに嘘や偽りみたいなものはないんだろうなあ、と改めて実感しました。ああそういうところ本当に好きだよ…。

あと今回、名前は知ってたけど初めて見るという方が何人かいて、めちゃくちゃいいな!と思ったのが高野くんでした。彼の演じる二本柳くんは、艦内にいるただ一人の『戦争反対派』なんですよね。アメリカに視察に行ったこともあって、相手方の状況もある程度知っていて、それでも突っ込んで行こうとする日本にずっと疑問を呈し続けている。終いには、古瀬とヨコを止められなかったが故に『アメリカに勝つ、必ず二人は帰ってくる』と思おうとすらしている勝杜に掴みかかって押し倒して、額と額を突き合わせて叫ぶのです。勝てやしない、この時代に命を使って玉砕前提で突っ込んで行こうなんてことしか考えられないアンタらみたいな人しかいないから日本は勝てるわけない、と。反対しているというよりも、一人だけとてもリアリストというか、一番現実が見えていた人。けれどたった一人の、しかも下等兵に艦長の決定を覆すことなんてできるわけもなく、彼もまた古瀬とヨコを見送るしかできなかった。その時の顔が、すごく辛そうだったのがとても印象的でした。この時、前列には北くん、テラさん、勝杜、二本柳だったのですが、勝杜と二本柳は顔をぐしゃぐしゃにして泣いているんです。それと対になるように、北くんとテラさんは耐えるように、ただじっと二人を見つめている。二本柳は特に、鉄拳制裁を咎めたり前述のようにリアリストが故に浮いた発言をしたりすることが多いんですが、私は彼が一番『今の時代の視点を持っている人』に近いんじゃないかなあと思いました。勝てるわけない、国力の差があり過ぎる、なのにどうしてそんなにも命を無駄にするようなことをするんだ、と投げかける役目。それが、あの最後の見送る時の表情にすべて浮かんでいて、とても感動しました。

そして永井役の近藤くん。名前は知ってたんですけど、彼ハイステに出てたんですね…ふうん...そうか…(俄然気になってきた)彼はどこかコメディリリーフのような役割があって、なぜか一人だけ裸エプロンという強烈な格好で出て来るんですけど、いやしかしタッパもあるし筋肉もガッチリしてるし、そりゃこの格好にもなるわ…と勝手に納得しました。笑 彼は元々魚雷を撃ちたくてこの艦に乗り込んだのに食事担当に任命されて『しゃもじ君』なんて言われて、それがコンプレックスだったってのがある出来事のあとで自覚するんですが、なんだろう、この役があったからこそのヨコと古瀬が担ってしまった運命の『悲しさ』がうまく浮かび上がってくるんだな、と思いました。魚雷を撃ちたい!食堂係なんかごめんだ!という気持ちは分からんでもなくて、海軍に入ったのに志望したわけでもない飯炊き係をさせられていい気分はしないよね、そりゃあ戦闘に携わりたいよね、と思わせると同時に、ヨコや古瀬は戦闘を望んでいたのか、こんな風に命を使うことを望んでいたのだろうか、と思わせるような役回り。あと彼の女装(と呼んでいいのかあれ果たして)からのアドリブシーンが毎度強烈で…笑 そこで北くん、ヨコ、勝杜、古瀬がアドリブに耐えようとぷるぷる肩を震わせてるのがめちゃくちゃ面白かったです。笑

そして、若手を支えるベテラン組のお三方がとても素晴らしかった。水谷さんだけ演技を拝見したことがあったのですが安定感は相変わらずで、おやっさん(渡久保さん)は出てくるだけでホッとする、それでいて大切なところでびしっと締めてくれるいい役だなあ、と思いました。そして何より大滝少尉な…最初本当にこの人訳分かんないね!?怖くない!?と思ってたんですが、最後の最後にめちゃくちゃ泣かされました。彼は陸軍出身で、潜水艦乗りのことを『ドン亀』とバカにする。潜水艦乗りは馴れ合いが多い、生ぬるい、と揶揄する。しかも戦闘兵の中では一番年齢が上なので、他の人たちには階級が上だろうと敬語を使ったりはしない、という破天荒な役どころなんです。それが、最後の最後、古瀬に対して『潜水艦の中は寒いに決まっています、これを持って行ってください』と、そこで初めて古瀬『中尉』に向けて敬語を使って、ずっと自分が着ていた陸軍の軍服のジャケットを渡して、とても美しい敬礼をするのです。それがもう、なんというか…。自分より年若い人間が、死ぬことを分かっていて出ていくことに対しての畏敬のようなものがにじみ出ていて、そこでめちゃくちゃに泣かされました。これは若手組では絶対成しえない演技だし、そこまでの破天荒さがあったからこそじんと染み渡るんだなあ、とぼろぼろ泣きながら思いました。すごくよかった。

そして何の前情報も無しで行ったので全然知らなかったのですが、この舞台元々はLDH系の方が演じていたんですね…。だからなのか、それとも今回だけなのかは分からないけど、最後のヨコの誕生日祝いのシーンやOP、EDでストンプやダンス、パントマイムが組み込まれていて、それが個人的にはとてもアクセントになっていたなあと思いました。革靴でダン!と板を踏み鳴らすあの音最高だった!あの演出は結構個人によって好き嫌いが別れるところだろうなあと思うんですが、私はミュージカルを抵抗なく見られる人間なのでまったく問題なかったです。むしろ好き。

ここからは余談なのですが、私は特攻隊の基地がある県で育ちました。基地の跡にもそう遠くないところに住んでいたので、平和祈念館には小学校の社会科見学でも行ったし大人になってからも行ったことがあります。今回の題材はそれに近いなあと思って見ていたのですが、ずいぶん昔の平和学習で『特攻兵は出撃する時に『行ってきます』とは決して言わなかった』ということを習ったのを劇中に鮮明に思い出しました。行ってきます、は『行って』『帰って来ます』だから、国のために死ねることが名誉とされていた戦時中は忌み言葉だった、と。だから、出兵の時には『行きます』と、送る側は『行きなさい』と言って見送った、と。学校で習ったことだし、それが本当かを確かめるすべもないので果たしてそれが事実なのかは分からないけれど、それを知っていてこの話を見た時に、古瀬は『行ってきます』と言わなかったな、と思いました。ヨコは見送られる時も、『ハワイはアイスクリームが有名だって聞きます、みなさんに大きなの買ってきます!』と言ってたけれど、テラさんに帰って来れる術がないと指摘された後からは古瀬が『帰ってくる』とか『行ってくる』と言ったシーンってあったっけ?と。極め付けには、テラさんに『さよならだ!』と言って手を振っていた。私の勘違いや、気付いていないだけという可能性も大いにあるから詳しくは言及できないしただの思い違いかもしれないけれど、その知識があったから古瀬のその姿がとても悲しかった。行くだけしかできない、きっと帰っては来られないと分かっていながら1年間艦に乗り続けたヨコと古瀬の哀しさは、劇中で雄弁に語られないからこそ他の人の視線を使って鮮明に浮かび上がってくるんだなあ、と思いました。

ストレートプレイを見たのは本当に久しぶり、半年ぶりくらいだったのですが、1回観ただけでもがっつりと印象に残るとても素晴らしい舞台でした。千秋楽は縁が無くて観劇できなかったんですけど、始まってすぐと前楽の2回観劇できて、その2回でも全然違っていて。応援している人が出ているから絶対に行きたい!と思って観に行ったのですが、それを差し置いても観て良かったな、面白かったな、と思えるとても良い舞台だったと思います。声も張るし、アドリブもあったりするし、やってる方はそれなりにしんどい舞台だったんだろうなあと思うけれど、誰一人として『この人いります?』って役がいなかったところも素晴らしかった。本当にお疲れさまでした、ありがとうございました!そしてここまで読んでくださった皆様もありがとうございました…!