Thirsty Thirty

生活、ときどきオタク

2018/2/25、17:00の話

自分の人生で、両親に向けて『産んでくれてありがとう』なんて言ったことなんてあるだろうか。かおるくんよりそこそこ長く生きているけれど、覚えている限りでは1回もない。けれど彼は、その言葉を、『ワガママ言ってすみません』と前置きして、大きな声で、パシフィコ横浜のあの大きなステージで叫んだ。彼にとって、それほどに幸せな時間だったんだろうなあと思えるくらいの、感情が溢れた声で。センターに立つ彼は去年『生まれてきてよかった!』と叫び、もう一人の彼は『産んでくれてありがとう!』と叫んだ。その違いすらも、面白い。

つい7時間ほど前、彼らの1stライブツアーがファイナルを迎えた。1曲めのReal Dream!が流れる前に、客席の電気が落ちて『今日は俺達の勝ちだ!』が流れる。少しボリュームを上げて。わたしは、その瞬間に泣いてしまった。今日は運良くかなり前の方で見ていたのだけれど、振り返ったら、DDerがかざす光が、散りばめられた宝石のように上から下まで、右から左まで、『びっしり』という表現がピッタリなほどに会場を埋め尽くしていた。本人たちも言っていたけれど、たった2年半前にはDDerだって信じられなかった光景だった。ドリフェスというPRJに対して、わたしはずっと何となく『スロースターターだなあ』と思っていた。なんでこんなに『少し』ずつしか進まないんだろうと思ったこともあったし、かと思えばどうしてこんなに『埋め合わせ』するように急加速するんだろうと思ったこともあった。もちろん彼らのせいだけではない(むしろ彼らのせいにできる部分なんてほとんどない)けれど、なんで他のジャンルみたいに爆発的に人気が出ないんだろう、って、明確な『誰か/何か』じゃないものと勝手に比べてジメジメした気分になったこともあった。他の、いわゆる『人気ジャンル』と言われるものが羨ましく思えていた。

けれど、そんなものはただの浅はかな、ばかな考え方だったんだろうなあ、と今日改めて感じた。わたしはずっと、まさきくんが最初の頃に言っていた『唯一無二』という言葉を信じて、すがるようにすら思っていた。今は他の声の仕事があるからそうだとは言えないかもけれど、でも、やっぱり『ドリフェス』というPRJ自体は変わらず唯一無二のものであると思っている。『7人』だけじゃなくて『14人』でステージに立ち、『ついてきてくれてありがとう』と言い、『離さないでください』と叫ぶ。わたしの経験値が無いだけだとは分かっているけれど、今までそんなライブに行ったことはないし、そんなことを言う人たちに出会ったこともない。『愛に溢れたPRJです』なんて言ってくれちゃうけれど、監督も言うように、『愛さずにはいられない』7人に、14人に出会ってしまったのだ、と改めて今日感じた。

まさきくんが挨拶の時に、『DDKFが結成される前から応援してくれていた人、結成された時から応援してくれている人、歩いて行く道の途中で僕らに出会って応援してくれている人、そして、今は離れてしまったけれど応援してくれていた人。その全部があったからこそ、僕らは今ここにいます』と言っていた(※大訳です)そうだろうなあ、きっと、このPRJから離れてしまった人もいるんだろうなあ、と思った。そして、そんな人がいることを彼はきっと知っているんだろうなあ、とも。個人の趣味嗜好なんて勝手に変えればいいものだし、離れていくことを糾弾することも引き止めることもしないしできないし、そんなことをしたところで意味は無いと知っている。けれど彼は、彼らは、その人達の『応援』も、見過ごさずに拾い上げていたんだな、と知ってしまった。

わたしは、もう何回も『自分の応援なんて届いてないと思ってた』とここに書いてきた。それは応援し始めてから変わらず持っている感情だし、今日のステージを見てそれがひっくり返ったかと聞かれてもYESとは言えない。けれど、彼はいろんな『応援』があること、あったことを知っているんだなと今日また知らされてしまった。まさきくんはDDのメンバーの中でもDDerの声にかなり敏感な方だからたまたま彼が声に出しただけかもしれないけれど、多分、他のメンバーだってそれは知っている。彼の挨拶の言葉じゃないけれど、7人全員がいろんな応援の受け取り方をしているだろうから。だから、そんな彼らの口から出る『応援は力になります、ファンに支えられています』という言葉は、自分の中で少しだけ重みを持って『そうなのかもしれない』と受け取ってもいい言葉なのかもしれない、と今回改めて思ってしまった。

そして今回初めて、これまでアイドルを応援していても成し得なかった『ツアーの全公演に入る』という選択をした。時間と日程にある程度余裕があって、なおかつお声がけいただいて、行こう!と決意できた末の選択だった。これまでずっと1人の友人と関東近辺の公演にしか行っていなくて、去年のファンミ03で初めてソロで遠征して、そして今回。行く先々でいろんな縁があった。一宮も小倉も、ひょっとしたらパシフィコも、このツアーがなかったら足を踏み入れていなかったかもしれない。色んな人と色んな話をした。『また来週!』という挨拶を交わした。お久しぶりも初めましても、たくさんの人と出会って色んなものや言葉をいただいた。色んな人の優しさに本当に救われて、助けられて、少しだけ、自分の世界が広がった気がしている。

最初に書いたけれど、今日は運良く前方に座れたのだけれど一番上手側のブロックで、見切れてしまうからか私たちの横には誰もいなかった。そしてライブが始まると、ステージの上にあるスピーカーよりも外側にいる私たちには、ほんの少し音が聞こえにくく感じた。そして何より、WECのシンアイを歌っている時に、自分が聞いているメロディーと3Fから降ってくるDDerの歌声に、ほんの少しだけ、タイムラグがあった。会場が広くなればなるほど起きる、音ズレ。初めてだった。初めて、DDの現場で、それを経験した。『あ、』と思った。びっくりした。嬉しかった。こんなに、音ズレが起きるほど大きな会場で彼らが歌っていることが。そんな彼らの軌跡を、自分の目で見てきたことが。はじけるような、眩しいような満開の笑顔をこの目で見ていることが。変な感情かもしれないけれど、応援し続けてきたことを、許されたような気がした。

インフィニティ・スカイの1番のサビ、『Let's fly now!』の部分で、後ろにいたまさきくんが、はねるようにして全力で走って飛んで4人の横に並んだ。その瞬間、全部がスローモーションのように見えた。すごく嬉しそうな顔をしていて、いつものようにあの大きな口を開けてニコニコ笑いながら、髪を汗で貼りつかせながら。ずっと、最初の最初から歌ってきたこの曲。NEW STAR EVOLUTIONでそーまくんが叫んだ、『これが俺たちのはじまりの歌だ!』という声。『はじまり』から『今』まで、ずっと走り続けてきた彼らが『夢の辿り着く場所』に到着するその日のその瞬間をこの目で見られたことは、もしかすると信じられないようなことなのだろうと思う。わたしたちはきっと今日、『キセキ』を見たのだ。5人が、5人と並ぶその瞬間を。

『たくさんの愛があふれるPRJです』と、センターに立つ彼は言った。『ずっとセンターに立ってきた壮馬に拍手してあげてください』と、リーダーの彼は言った。『知らない土地に行っても、青を見ると迎えられているような感覚がある』と、大黒柱の彼は言った。そして、『これからもずっと、』と、全然似ていないのにそっくりな彼らは異口同音に言った。一方通行じゃないんだなあ、とこのツアーを通じてやっぱり知ってしまったような気がしている。応援しているのに、応援されているような気がしている。そしてずっと、『明日』をもらい続けている。本当に、彼らを応援し続けてきてよかったなあ。