Thirsty Thirty

生活、ときどきオタク

『明日』の話

2年半くらい前になるのかな、わたしはサイエンスホールの前列ブロックの一番後ろの列にいました。ドリフェスの初めてのイベント、ファンミーティング01、夜の部。『る』列かな、そこの10番か11番のあたりにいたと思います。右には人が座っていたけど、左の席にはいませんでした。1席空いて、開演しても埋まりませんでした。わたしより前の席にも空席がありました。開演直後、後ろの扉から飛び出すようにして出てきたディアドリの姿を見て、1席空いた左隣にいたお姉さんと「いま…出てきましたよね!?」「いましたね!?」と顔を見合わせて笑いました。そのお姉さんに帰りに話しかけたら、そーまくんのファンでした。『自慢の推しです』って笑っていました。分かるなあ、誠実な子だもんなあ、って思ったし、いつかその誠実さが届いて、埋まらなかったこの席が全部埋まって、そんな彼が言った『いつか絶対武道館行きます!』って言葉が叶う日が来るといいなあ、叶えるためにファンは何ができるだろう、なんて思っていました。自分ができることをできる限りやれば叶うだろうか、と思っていました。

そしてそこから2年半、彼らは『遠回り』をしてきました。池袋、ビッグサイト、横浜、水道橋、北九州、大阪、一宮、時に札幌や仙台、小倉、広島、町田、新潟、大宮……数えきれないくらいのところに寄り道をして、サイエンスホールからたった数百メートルしか離れていない武道館に2日間立ちました。『遠回りをしてここまでたどり着いた』っていうそーまくんの言葉はきっと飾らない本心だろうし、考えて出てくる言葉じゃないような気がします。
その『遠回り』の間に、少しずつ彼らを応援する人たちが増えていきました。サイエンスホールなんてあっという間に埋まっちゃうんじゃないかなって思えるくらいになりました。『イベントしてる時間より飯食ってる時間のほうが長かった』行脚はいつの間にかチケット抽選になって、2回目のAGFはたくさんの人がいて、ライブのチケットは『落選』が出たりして。PRJが発足したばっかりの頃には『ドリフェス』『ディアドリ』でツイート検索してもほとんど引っかからなかったのに、今じゃたった数分前のツイートがたくさん並びます。それはきっと彼らがいろんなことに対して誠実に向き合って来た結果で、その結果が『今』なんだと思います。

『悲しむことなんてないんですよ。何も減ってないんだから。むしろ増えたことばっかり!これはみんなの勝ちです!!』って、あの日武道館に立つと言った彼は断言しました。『何も減ってない』ってそうじゃないんだよ、ドリフェスがあった毎日が減る、なくなるんだよってわたしはスッと血が冷えていくような感じがしたんだけど、その後の言葉があまりにも力強すぎて泣きました。ああそうだ、わたしたちは『ドリフェス』という宝物を、思い出を、あまりにも楽しかった感情をもらったんだとその時初めて、やっと分かったのです。『こんなに悲しいくらいなら出会わなければよかった、好きにならなければよかった、あの時知りたくなかった』と思うのはあまりにも簡単だけどそうじゃなくて、『知れたからこその幸せ』を確かに知ったし、曲解かもしれないけど『ドリフェスを知れた、好きになれたわたしたちは”勝ち”』なんです。

物事には必ず何かの形で終わりやピリオドがあって、それがどんな形かどうかはわからないけれど、それが物事の理だとわたしは思っています。そーまくんは、『もしかしたらツアーで終わってたかもしれなかった』と言いました。初めて聞く事実でした。もしパシフィコで終わっていたら、わたしは悔やんでたかもしれません。もっとできることがあったかもしれない、もっと大きな声で名前を呼んで、もっと大きな声で歌えたかもしれないって後悔していたと思います。
けれど彼らが『ライブがしたい』と思ってくれて、それを叶えようと動いてくれるたくさんの人がいて、それが叶って、いつかのわたしが願った『ありがとうを言える場所』があった。それって、もう本当にめちゃくちゃ幸せな、『誠実』なことでしかないんじゃないかなと思うのです。スパッと切られたってきっとおかしくなくて、たとえそうだったとしてもファンにはきっとどうすることもできなくて、ああ力が足りなかったのかな、もっと何かできることがあったかもしれないのにごめんって思っていたかもしれなくて、もしかすると嫌いになっていたかも、忘れようとしていたかもしれない。けれどそうじゃなくて、最後の最後までファンの方を向いてくれて、『すべては明日のために!』ってテーマまで作ってくれちゃって、こんなの『愛』以外のどんな言葉で表せるのでしょう。

『最後は笑顔でって言ったけど、寂しくないわけないんだよ!』って叫んだかおるくん、『出会ったことを誇りに思ってほしい、ファイナルだから武道館立ってるわけじゃないんだよ、実力で勝ち取ったんだよ!』と胸を張って言ったまさきくん、『純哉に寄せることはしなかった、だって純哉は別の人間で、互いに尊敬し合える存在だから』と泣きそうな顔で言ったトミー、『青を演じること、及川慎を演じることは一人ではできなかった、みんながいたからここまで来れた』とわたしが覚えている限り初めてドリフェスの舞台で泣いたミゾタク、『みんながセンターにしてくれました』って笑ったそーまくん、そして互いを最高の相方と称え合い、出会ったことを奇跡だと言い、ディアドリやファンのことを深い愛情で見守ってくれた株ちゃんさん、公人くん。
最後の最後に、たくさんの『本音』が飛び出してきて、答え合わせをしてもらったような気持ちでした。きっとただの一介のファンには分からないような感情もたくさんあっただろうし、いろんな事情があっただろうし、それを見たり聞いたりもして現実を突きつけられることもあっただろうに本人たちは常に前を向いていて、『明日』に向けて背中を押してくれていて。無理してないかな、どう思ってるのかな、って思うことだって何回もありました。悔しいと思ったこともあったし、怒りのような感情を覚えたこともありました。でも、ファンが感じることを本人たちが感じないわけないんですよね。ファンが思う、想像することなんてあくまでも想像の域を超えないと思っていたけれど、そうじゃなかった。ああ、同じことを同じように感じていたのかもしれないなってドリフェスに出会ってから何度も思ったし、そう思わせてくれたのが昨日のラストの挨拶でした。本当に奇跡のようなPRJです。

少しずつファンが増えていくのにつれて、少しずつお話してもらえる同じファンの人が増えていきました。『そんなところから好きになったの!?』って思うことも多くて本当に多種多様な入口のあるPRJだなと思ったし、でもみんな共通してるのは『14人が好き』ということで、どんな話をしてもすごく面白くて、そーまくんがあの日目を細めるようにして付けてくれた『DearDreamer』、そして公人くんが付けてくれた『ディアドリンセス』という名前をいつの間にか誇りのように思うようになっていました。『出会ったことを誇っていい』というのは、自分が色んな人に向けていい言葉なんだなあと許されたような気持ちになります。武道館で聞いたたくさんの『ありがとう』は、誇らせてくれたことに対してのありがとうだったのかな。

ファンミーティング01の最後の最後に、彼らは歌っていました。

Shake your hands 未来の僕ら 見えてますか? 今歩み出すから

Shake my hand たどり着く日見守ってて 約束だよ

彼らがたどり着いた『明日』は、すごくいい天気でした。九段下の空は突き抜けるように晴れていて、先週寒かったのが嘘のように暖かく、とても『ドリフェスらしい』と思いました。あまりにも誠実で、愛しかなくて、みんなに優しい、晴れた日の空でした。